『チェンソーマン』には何度もゲロ(嘔吐)のシーンが出てきます。象徴的なのはこちらのシーンですね。
このゲロキッスシーン以外にも、デンジやアキ、コベニがゲロをする描写も描かれます。数えたところ7回登場しました。本作において特徴的なゲロ描写。その意味について考えていきます。
恐怖の体感
本作に根底にあるテーマは「恐怖の体感」だと思っています。なんだかわからないんだけれど、怖い。そんな言葉にならない恐怖を味あわせてくれます。
その象徴がゲロです。
マンガって目で見て、頭の中で論理的に解釈して、内容を理解するコンテンツです。ただ、このシーンは違います。
見た瞬間に喉の奥からすっぱいものがこみ上げてきます。頭で理解する前に、身体が拒絶反応してしまいます。
言葉にできない拒絶反応、これこそチェンソーマンが描く恐怖なんだと思います。
ちなみにこのシーンは、もともと「ベロいれたキッスしてあげる」というセリフを受けての描写です。「ベロいれたキッス」が「ゲロいれたキッス」になってしまったという、ぶっ飛んだギャグです。
共感とカタルシス
さらにはゲロシーンには、カタルシス的な効果もあると思っています。
『チェンソーマン』は、ハチャメチャな展開なので、読んでいるときに何度も「え?何が起こってんの?もうわけわかんない!」と頭が混乱します。
そんなときに作中で吐いている人を観ると、
「あ、よかった。ついていけていないの自分だけじゃないんだ。この場に居合わせた人さえついていけないんだよな。」
と、ちょっと安心できるんです。ゲロのシーンがあることで、読者はやっと共感ポイントを見つけることができる。もやもやした恐怖を吐き出させてくれたことで、カタルシスさえ感じてしまいます。
ゲロ描写に注目してみよう!
この記事の筆者のカウントによると、『チェンソーマン』には7回ゲロシーンが出てきます。シーンを見つけてそれぞれの意味を考えてみると興味深いです。ぜひゲロシーンを探してみてください。