死の描き方からみる『ワールドトリガー』の魅力~バトルマンガの死生観~

『ワールドトリガー』の面白さの一つに、バトルシーンがあります。トリオン体という独自の技術を使って行われる大胆なバトル描写。『ワールドトリガー』を読んだ時、バトルマンガの新しい可能性を見出した気がします。

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少年マンガの死の描き方

週刊少年ジャンプは「バトルもの」が大好きですが、少年誌だからこそ「死をどう描くか?」が大きな問題になってきます。

例えば『ワンピース』は徹底して死を避けますよね。ルフィにボコボコにされたキャラでも、しばらくしたら五体満足で再登場することがほとんどです。そんな『ワンピース』が王道になればなるほど、「ちゃんと人が死ぬバトル漫画」も読みたくなります。

そのニーズを汲み取ったのが『呪術廻戦』であり『チェンソーマン』だと思います。これらの漫画は主要なキャラクターがどんどん死んでいきます。ただ、そうなると読者のメンタルが持たないという問題が生じます。

また、『鬼滅の刃』も死が頻繁に描かれます。『鬼滅の刃』は死をメインテーマにしているため、死がとても重たく描かれます。死のシーンは心にずっしりと響きます。

バトルマンガでは、死を徹底的に避けるか、もしくは死をすごく重たく描くか、のどちらかでした。そんな中で、『ワールドトリガー』は新しい死の描き方をしています。

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実体を分離させたことで死を大胆に描ける

『ワールドトリガー』は、実体では闘いません。実体とは別のトリオン体(戦闘体)に変身して闘いを行います。

© 葦原大介/集英社『ワールドトリガー』5巻より引用

トリオン体のときは、いくらダメージを受けても実体に影響はしません。ダメージが大きすぎると戦闘体は消失し、実体に戻ります。(「緊急脱出」)

© 葦原大介/集英社『ワールドトリガー』5巻より引用

この設定にしたことで、バトルを大段に描けます。簡単に人の手足が吹っ飛ぶのです。

バトルで人間はすぐ死んでしまいます。その結果、バトルに緊迫感が生まれます。そして、キャラが死んでも実体は無傷のため、読者は悲しまずに済みます。

死をちゃんと描きながら、読者を悲しませず、気軽に楽しめるバトルマンガに仕上げたのです。『ワールドトリガー』の人気の理由の一つには、独特なバトル設定によって、バトルマンガにおける死のジレンマを克服している点にあると思います。

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