名作でした。
新人漫画編集者の女性を主人公にした『重版出来!』(じゅうはんしゅったい)。
いやーおもしろかったです。出版業界の勉強になればなと思って手にとったのですが、心を揺さぶられました。出版業界の勉強になることはもちろん、人生のヒントを教えてくれる作品でした。
本を愛する者たちが出版業界のイロハを伝授してくれる
本作には出版業界で働く多種多様な人々が登場します。漫画編集者、営業、表紙のデザイナー、フォント職人、取次、本屋の店員、そして漫画家。
本を愛する人たちの仕事現場がこれでもかと丁寧に描かれ、その生き様に惹き込まれます。
彼ら彼女らの仕事ぶりは、新鮮で勉強になることばかり。
「重版出来(じゅうはんしゅったい)」という言葉もこの作品で知りました。また、フォントは各出版社によって契約している種類が違うから、出版社ごとにフォントに違いがあったとは。
そんな出版業界の知識を楽しく教えてくれます。
心揺さぶられる名言の数々
本作の素晴らしい点は、勉強になるお仕事マンガに収まっていない点です。
作品作りに苦しむ漫画家、その漫画家との接し方に悩む漫画家、出版業界の衰退に飲み込まれる本屋の店員、それぞれが大きな問題に挑んでいく中で紡ぎ出された言葉たちがどれも至極の名言なんです。
これらの名言が心に染み渡ってきて、「うわー名作を今自分は読んでいるんだ!」って気持ちにさせてくれます。
お仕事マンガって情熱的な物語が多いので、たまに暑苦しく感じてしまう時があって苦手意識がありました。ただ、この作品はほどよい温度感ですんなり読めました。美しい繊細な絵の中で、発せられる言葉たちがどれも素直に心に刺さります。
いやーほんと名作です。ずっと追いかけ続けます。おすすめです。